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黒人霊歌を学ぶ理由

タローです。

黒人霊歌の英語は本来、「二グロ・スピリチュアル」。
ある黒人の友人は、今はもうそれを二グロ・スピリチュアルなどと呼んではいけない、と僕を叱りました。
ニグロは黒人に対する最もひどい差別用語であり、音楽のためと言っても滅多なことで使っていい言葉ではない、というのです。

別の黒人の友人は、きちんとニグロ・スピリチュアルと呼べ、と僕を叱りました。
それをアフリカンアメリカンスピリチュアルだとか、ただのスピリチュアルなどと呼ぶのは悲しい歴史を無視することであり、そんな呼び方をしたら黒人たちはお前を黒人史のわかってないやつだと思うだろう、というのです。

そこに、どちらが正しいという答えはなさそうです。

この「二グロ」はスペイン語で「黒」の意味の単語で、奴隷制時代に白人たちが黒人のことを言い表した言葉です。奴隷たちが生活の中で歌い続けた歌の数々を、広義に二グロ・スピリチュアルと呼びます。
実際に自分の父母、祖父母や祖先が差別の中に生きた彼らの歴史の重みは、日本の僕らには計り知れぬものがあります。
それでもDUCが黒人霊歌を歌うのは、それが「生きるための音楽」の根源だからです。

広義での黒人霊歌は、必ずしも宗教歌ではありません。
奴隷たちにとっては神は、賛美よりも嘆願の対象であり、その言葉は悲哀とともに、多くの皮肉を含みます。

読み書きが許されない中で、歌は大切なメッセージを繰り返し伝え、感じるためにハーモニーと言葉のリズムを発展させ、それはゴスペルのみならず、ブルース、ファンク、ラグタイム、ロックンロール、すべての黒人音楽の祖先となりました。

賛美と愚痴と躍動と悲哀。黒人霊歌は、ビッグバン前の宇宙のように、今日の黒人音楽の要素のすべてを含んだ一つの音楽だったのです。

僕らはゴスペルの持つ希望やパワーに魅せられます。日本でゴスペル現場を歩けば、「難しいことは言わず、歌って楽しければいいのでは?」という態度に、いくらでも出会えます。

しかし、いい悪いの話はともかく、この音楽が決して希望やパワーに溢れた場所から生まれたわけではない、ということを学ばなければ、「この音楽の一番の感動を取り逃がすことになる」のです。
苦味を知ろうとしない料理人に料理ができるはずがないように、悲哀に向き合わずにゴスペルの声のパワーを語ることはできないのです。

Power Chorus は、黒人霊歌とゴスペルの流れを汲む、「命のコーラス」の音楽です。
それでDUCは、黒人霊歌を学ぶことをおろそかにしたくないと考えているのです。


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