ゴスペルの作曲・黒人霊歌のリメイクという手法。

2015.10.8

Over My Head by Dreamers Union Choir

(PCでご覧の場合、再生後、画面下の字幕アイコンをクリックする事で日本語訳とともに見られます

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広義での黒人霊歌は、賛美歌や宗教歌だけではなく、Work Song とよばれる農園奴隷や舟こぎたちの歌、物売りの売り歌などが含まれる。

そのうちの一部である宗教歌が、教会で発展してゴスペルへと進化した。

もちろん、歌詞もメロディーも新たなものが次々書かれてゆくのだが、黒人たちの教養が高まってゆくにつれ、歌詞の内容はより聖書に忠実で正確になっていった。

 

黒人霊歌の歌詞の中ではしばしば、旧約聖書の1シーンと新約聖書の1シーンが脈絡なくごった返したり、文法が未熟だったりするため、そのまま教会で歌われることは少なくなっていった。

しかし現在でも時にゴスペルアーティストたちは、古い黒人霊歌を拾い上げ、そのサウンドやテーマを現代のスタイルへと拡張して仕上げることで、今の教会で歌える歌へとリメイクすることを行っている。
例は無数にあるだろうが:
Kurt Carr の Kumbaya,
Kirk Whalum の Wade In The Water,
John P. Keeの Standing In The Need Of Prayer,
Kirk Franklin の Up Above My Head (原曲 Over My Head)
などがそれにあたる。

(各アーティストのこれらの曲と、もとの黒人霊歌を検索して比べると面白いだろう)

 

書き手もわからない民謡をモチーフにした現代歌という意味で、日本で言えば、昨今中高の体育祭などで流れるソーラン節の現代リミックスが近いものと言えるのではないか。
その言葉には馴染みがあり、自分たちの民族性も反映されていながら、自分にとって現代の音楽でもある、という形だ。

Dreamers Union Choir にもいくつか、黒人霊歌のテーマやメロディーを含んだ楽曲がある。 そのうちの一曲、Over My Head は、アメリカのゴスペルビデオ放送番組、「Gospel Music Presents」で、ドナルド・ローレンスやサウンズ・オブ・ブラックネスのビデオと並んでアメリカ全土に放映された。

 

Over My Head by Dreamers Union Choir (written by Taro Kijima)
冒頭で原曲である黒人霊歌「Over My Head」を歌っているのは、アメリカからのゲストシンガー、レディー・ウォーカー。僕らにたくさんのエンターテイメントの知恵を残してくれた老練のシンガーが、ゲストで参加してくれた。

「天高く、風の中に音楽が聞こえる。どこかに神がいるのだ。」
身体中に傷を負い、家族を奪われた奴隷たちが空を見上げて歌ったのだと思うと、心をかきむしられるような黒人霊歌だ。DUCはそのテーマに、一度は夢破れてまた立ち上がる夢追い人たちの人生を映す。

DUCスタイルなので、本ブログの表題に反して、結果的にゴスペルではなくなってはいるが、「人が生き抜くための歌」の歴史を、現代の僕らのために紡ぐ。

 

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