聖衣ローブの葛藤:アフリカン・ローブ
2015.10.30
多くの方が、ゴスペルを歌う際の衣装として「ローブ」を思い浮かべると思います。クワイアーローブは、大勢で体を揺すった時に動きが揃い、華があります。
しかしそれ以上に、日曜の朝に教会に自由な服装でやって来たシンガー達が、上からずぼっとかぶるだけで聖衣になるという大変機能的な衣装であり、教会の営みと深くリンクした習慣であるといえるでしょう。
しかしそれ以上に、日曜の朝に教会に自由な服装でやって来たシンガー達が、上からずぼっとかぶるだけで聖衣になるという大変機能的な衣装であり、教会の営みと深くリンクした習慣であるといえるでしょう。
さて、ご周知いただいているとおり、Dreamers Union Choir はゴスペルクワイアーではありません。しかしながら、DUCはゴスペルという音楽の魅力に魅せられ、そのスキルを伸ばしているので、ゴスペルの演奏に挑んだり、ゴスペルの演奏ご依頼をうけたりします。
DUCがゴスペルグループを名乗らないのはまさかゴスペルを嫌っているのではなく、ただ単純に、「宗教的な意図を持たない集団がゴスペルグループを名乗るのは国際的に、あるいは語彙的に珍妙である」という事実に即したものです。
DUCがゴスペルグループを名乗らないのはまさかゴスペルを嫌っているのではなく、ただ単純に、「宗教的な意図を持たない集団がゴスペルグループを名乗るのは国際的に、あるいは語彙的に珍妙である」という事実に即したものです。
そこで、「聖衣」といえるゴスペルの定番衣装、ローブの件が課題になる事があります。
DUCは、教会という歴史と営みを心から尊重するがゆえに、「ミニストリー(宗教活動)のフリをする」事を嫌っています。クリスチャン団体でないのに聖衣であるローブを着て集団でゴスペルを歌えば、より、正式な儀式の姿へと近づいて行きます。音楽を高めて行くことを「もっともっとゴスペルグループのフリをする」ことと置き換える態度は、魂からの音楽を作り出すアーティスト団体としては避けるべき方向性だと考えています。
しかしながらこの、歴史を踏まえ、確かにそのスピリットを伝えるという音楽活動には、「聖」なる側面がある事もまた事実と考えており、ローブという衣装に自分たちがふさわしいかどうかには、いつも自問があるのです。
現時点での一つの答えが、「アフリカンローブ」です。
ゴスペルという礼拝音楽を作った要素の一つの起源は、アフリカに辿る事ができます。キリスト教に出会う以前の名もない土着の宗教の時代から、人々は神性や創造主を讃える音楽を奏でてきました。
その歴史と精神に敬意をこめてDUCは、ローブを着用する際、キリスト教会式ではないながら、歴史や文化を表す衣装としてアフリカンローブを選択しています。
様々な考え方、見方があるなかで、自己満足という見方もあり得るかもしれませんが、DUC と Power Chorus コンセプトが追う道筋での、現時点での答えです。
ところで、様々な理由から現代のゴスペルアーティストたちはローブを着る事は少なくなっています。最近では、ゴスペルグループがローブを着ることは時に、やや古風な印象や、伝統的であるという印象が伴います。ちょうど日本でいうと、演歌歌手が昭和と違って着物を着る事が少なくなっている事と似ているでしょう(男性シンガーに顕著ですね)。
ライブ写真:ヨシカワアキ