Can You Still の着想

2017.2.10

タローです。みなさんに愛していただける幸せな楽曲、Can You Still の誕生について少し、今日はお話を。

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着想の一つは、2009年のNHKスペシャル「魔性の難問」の再放送だった。

 

素数の魔性に満ちた魅力と、その謎に挑んだ数学者たちの悲運をつづった番組で、番組は数学の見識がなくてもロマンを掻き立てられる、精妙な造りになっていた。

その冒頭に、ルイ・ド・ブランジュという一人の老数学博士が登場する。番組放映時点で77歳。博士は毎朝ランニングマシンに乗り、汗だくになって走り続ける。
博士は、人生で4度目となる素数の謎を解明したという論文を提出したが、その検証は学会の数学者たちによって行われ、証明されるまでに少なくとも4〜5年かかるのだという。
フランス人の平均寿命を超えた博士の、その結末を見るまでは死ねないという思いが、博士を毎日走らせる。その美しい1シーンに、まんまと僕は心を掴まれた。

 

Sounds Of Blacknessのディレクター、ゲイリー・ハインズ氏を日本に迎えた時、たくさんのわがままを聞いていただいたが、そんな中、数少ないゲイリーさんからの注文は、「毎朝、ジムを使いたい」とのことだった。ゴールドジムの近いホテルを予約し、僕は最初の朝、ホテルにゲイリーさんを迎えに行き、ジムまで同行して付き合った。最初の40分はひたすら黙って、音楽を聴くこともなく、ランニングマシンで走っていた。

間もなく60歳の彼は、大ヒットこそないものの、結成から40年を経て今もNAACPやステラ賞のような大賞にノミネートされ続けている。彼の顔に僕は、夢を追い続ける者の「明日倒れることはできない」という決心を見た。

 

長期にわたって夢を追い続けるのは楽でもなければカッコよくもない。

 

30歳を超えてもビジュアル作ってバイトからスタジオに向かうギタリストや、40歳を超えてもブレイクを夢見てネタを書き続ける芸人が、かっこいいと言われることはあまり多くない。
歳をとるほど「何の芽も出ない、そんなことをいつまでやっているんだ」、と周りじゅうから言われる。

 

そんな日々が続けば、世界を愛するのが難しく思える時もある。

世界が自分に夢を与えてくれたのに、その世界は夢を追う自分がここにいることを忘れてしまったかのようで、静かに、でも確実に、自分は時間から置き去られてゆく。

 

それでもまだ立てるか。
まだ走れるか。
まだ世界を愛せるか。

 

Can You Still は、その覚悟の向こうに答えがあると信じ続けられるように。
まずは、歌い手である僕ら自身のための歌であり、

それであってこそ、それを見て「自分も」と思ってくれる方々の歌になってくれるのではないか思う。

 

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Thanks!/ありがとうございます!

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