「ソロとバックコーラス」にならないために / Subtitle by ものまね合唱団

音程 : ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ ◾︎ 4.5

リズム: ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ 4

歌詞 : ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ 4

技術 : ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ ◾︎ 4.5


 

20名という膨大なソロを織り込みながら、それを「合唱」に仕上げるのは難しい。というのは、基本的にその形はどうしても「ソロとバックコーラス」になってしまうからだ。ソロのバックにウーやアー、もしくは単純な字ハモをつけるような音楽は珍しくもないし、そういう音楽をやるならバックコーラスはそういうことをプロでやっているシンガーの方がいい。

 

合唱バトルでは、主人公はあくまでコーラスであるという大前提を守りながら20人のソロを折り込まなくてはいけない。生活音楽としての合唱は、個別の人生やスキルを持つ人々が集まって一つの音を作ろうとすることに感動があるからだ。

 

はいえ、そういう構造は簡単ではない。しかも実のところリハーサルが進む中で少しアレンジがゆれた。当初5枠程度という想定だったソロの枠を、やはり全員をフィーチャーできる形に変えるという方針になったのだ。つまり、この曲だけ、曲の学習を開始した時点とオンエア時のアレンジが違っていた曲になる。

 

確かに、リハを始めてみればこの錚々たるメンツで、しまも各自が数十ものものまねレパートリーを持っている中で、この曲ではソロ5人だけということもないだろう。

 

最初から作るよりも、出来上がったものを改造する方がずっと難しい作業だが、急いで改造を済ませる。

 

くシンガーの音程能力が測れない中でアレンジがスタートしたが、相当な歌ウマばかりだという話だったので、思い切って難しいフレーズからスタートしてみる。原曲のコード進行も単純でないが、どこまでアレンジを複雑にしていいかは迷いながら進んでいく。

 

こまかな技法は色々と織り込んでいる。例えば、歌詞が楽器的な音にブレンドされて溶け込んでゆく手法だ。サビ前の女声の「一挙手いー」を一例に挙げると、これは主旋律が「一挙手一投足を」と続くところ、女声が「一挙手い」までは字ハモとし、「い」を打ちっぱなすことで、バンドの持っているインパクトの役割を担う。こういう「変幻」は芸人さんたちと同じく、ものまねの方々の自由な声を見込んでのアレンジだ。そうしてコーラスの見どころ/挑戦しどころをいくらか仕掛けておき、隙間にソロを見せてゆく形でアレンジが仕上がってゆく。

 

回のアレンジ全体で最も重要なのはものまねの集団が一つの音の塊を作ることで、それがいかにソロと綺麗にスイッチするかにある。その点においては、編曲面でもっとできたはずだという思いが残る。というのは、全員がずっとものまねをキープして歌うという方針を、それがどういう現象なのかという実感として感じられたのはリハーサルが始まって何回かしたあとだったからだ。制作スタッフも、僕も、たぶん合唱界全体も、こういう個々がわざと個性を押し出すという合唱がどんな完成品になるか分からず手探りしながら進んだ(自然に持っている個性を活かすこととはまた勝手がちがう)。

 

当然歌い手であるものまね芸人さんたちの間にも困惑が走る。全く、この素晴らしいアートが完成したのはものまね芸人さんたち自身の挑戦や調整の結果だ。

 

ここまでの道のりとその完成品の感動について、日本の合唱教育界に紹介したいものだ。

 

Subtitle by ものまね合唱団

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