声部編成: SAT + ソロ
ソロシンガー: 1〜6名
伴奏: Pf. G. B. Dr, Strings
難易度:
音程 : ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ 3
リズム: ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ 3
歌詞 : ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ 3
技術 : ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ 3
DUCの前身となったグループのために当初は書いた楽曲で、DUCに引き継いだ。
DUCのために書いた完全オリジナルとしては「知らない誰かの笑顔のために」が第一号だが、他に4曲、DUC誕生以前に書かれたオリジナル*がある。これはそのうちの一曲。
チームとしての技術力が上がってくる前の楽曲だったこともあり、音としては難しくない。その分、魅力は発声のパワーとソロ力にかかる。つまり、「声のパワーさえあれば魅せられる」というパワーコーラスの側面の、その原型でもある。
前半と後半で違う音楽性を接続した作りになっているが、後半に登場するコード進行をイントロと間奏に用いるなどすることや、バラードには徹せず前半からビート感で穏和なメロディーを支えることで全体を統一している。V度コードで始まるメロディーを描いてみたかった、という余計な着想もある。
サビではじっくり噛み締めるようなコーラスが入るものの、2サビが終わるまではじっと穏やかな時がが続き、後半で初めてパワーコーラスの音楽性が生きる形だ。その構造そのものはおそらく、書いた時に Mary Maryの「Can’t Give Up Now(2000)」の構造を意識している。
この曲をバイオリンセクションのソロをフィーチャーした形でCD “United Dreamers” に収めることになったのは、大塚樹里という人材があったため。CDでは、バイオリンI、バイオリンII、ビオラ、という楽器2種/三声の編成とし、一人で演奏している。
動画とライブ(2021年4月30日クラブチッタ)では、キーボードと生楽器をブレンドしたハイブリッドストリングスで演奏したが、これも、DUCの元メンバーでもあるキーボードのまっつが、クラシックとポップの両方に精通しているため可能だったコンビネーションだ。
ラストはコーラスが転回**してゆく。最後まで単純な転回ではなく、ラストは歌詞のリピートサイクルが短くなり、緊張を高めてゆく。これらの構造は、ゴスペルの歴史が作り出した「少ない練習量で音楽的に最大限のダイナミクスを引き出せる」という伝統を継いだものでもある。
*Fading World, 昔話, Right Time In Right Season(CD未収録).
**転回(inversion):同じフレーズを繰り返す中でのコーラスの展開法として、テナーがアルト音に移動し、アルトがソプラノ音に移動し、ソプラノがテナー音の一オクターブ上に移動する。
クラシックでは転回というと、基本形から第一転回に移動すること(例:コードC が C on Eに移動すること)を言うので、それとは少し違う語法になる。