リフォームの理由と手法 / 家に帰ろう by ママ合唱団

音程 : ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ 3

リズム: ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ ◾︎ 4.5

歌詞 : ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ 3

技術 : ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ ⬛︎ 4


 

の食卓に似合いそうな水彩画のような楽曲で、合唱バトルというシチュエーションにはちょっと困る。通常サビがくるべきCメロの場所にサビはなく、Aメロに戻って終わるような形になっている。アンサンブルとしてピークに向かってゆく作りではない。

 

原曲の完成度の高さに問題があるのではなく、あくまで合唱バトルという状況のために必要な「改築」を行うこととする。

 

ずは全体的なビート感だ。原曲を支配する心地よいビート感は徹底的にアコースティックギターのストロークありきのものなので、ピアノでその置き換えをはかろうと思うと、ビート感としては単純に劣化版になる。ビートごと別のものに置き換えた方が良いと判断する。いくつか試しているうちに、ラテン風がマッチしてくる。その形ならこちらで適切な打楽器とピアノの奏者も用意できる。

ママ合唱団には二人の芸人さんがいる。明るい雰囲気になることも予想されるので、少し伴奏形は思い切ってみる。

人のパワーボーカルがいることも知らされているので、軽やかなだけで終わらない方がいい。

ゴスペルの世界にはラテンゴスペルというスタイルがある。ラテンミュージシャンが始めたのではなく、ブラックミュージックの人々がラテンを取り込んだ(黒人教会にヒスパニック系の信者が流れ込んできたためとも言われている)スタイルで、純粋なラテンよりもヘビーなサウンドだ。そのスタイルは重いボーカルにもよく合う。

 

これを利用して「見飽きたはずのあなたでも..」は曲調を一気に深刻化し、コーラスに「Home, Sweet home」の叫びを添加する。「結局、家がいいのだ」という意味を示すその言葉に、コーラスで歌うにふさわしい重めの情動を持たせる。様々な人生模様があるママたちが集団で歌うためにはこのくらいの感情があっていいだろう。

 

添加したコーラスの「Home, Sweet home」が原曲であるかのように振る舞い、実際は主旋律である「見飽きたはずのあなたでも..」をソロによる情熱的なアドリブであるかのように扱うという主副逆転を行った。

 

談だが、YouTuberのずまさんが、最強ボーカリスト合唱団のリハーサルで、ゴスペルナンバー「Wonderful(木島がよく発声練習で用いる)」に対してアドリブを追加し、アドリブ側が本曲であるかのような歌を聴かせてくれている。これもまた主副逆転の例だ。

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が進むにつれママたちの思いを一つにしてゆくため、穏やかな水彩画を情熱的な油絵に作り替えるようなアレンジをさせてもらったが、楽曲の魅力の新たな側面として楽しんでもらえたら幸いだ。


ドリーマーズ・ユニオン・クワイアー

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