前回、SHAKEで番組中唯一の「満点」を記録した歌ウマ芸人合唱団である。SHAKEを超えてもらいたい、というやんわりした圧力(笑)が制作側からかかった。それは当然の要求ではあるが、創作する人間にとって、評判が良かった前回を超えてくれ、と言うのは難問だ。アスリートはこれと毎日戦っている訳だろうが、創作上は自由な発想にブレーキをかける邪念になりかねない。
この曲目は実は14曲中最も早くわかっていたにも関わらず、完成が最後になった。
SMAP楽曲は難しい。なぜならユニゾンとは言え最初から合唱のていがあるからだ。僕自身の精神さえ、このまま歌えばいいじゃないか、という結論におちいりやすい。しかしもちろん、そんなわけはない。
芸人合唱団の強さは何しろなりふりかまわないことだ。奇声を上げることや奇妙な言葉を歌うことに対する抵抗が一切ないし、そういう声を出す訓練を普段からやっている。これでは合唱に強いはずである。もちろん声の深みでは演歌に、和音の綺麗さではアイドルに、など、各ポイントで他のチームに遅れをとる部分はあるが、合唱バトルの面白さは、音程や声質で勝つのではなく、自分たちの最大の武器を合唱のサウンドに反映できるかどうかで勝つところだ。
イントロではスケールシェアを使う。ソプラノとアルトがそれぞれの複雑な音形を歌い、一緒に歌うことで原曲の特徴的なイントロが組み上がる。個々にかなり練習しなくてはいけない。
SMAPに準じ、主旋律は強烈な男性陣が取る。ソプラノとアルトの冒頭の歌詞は「えがおだーっタータカラカラっきしめーパッパパラッ」である。芸人合唱団でなければこんな音は書かない。このチームだからこそ脳内に描けるアレンジだ。
楽器に見せかけたアクションで1パートずつが音を重ねてゆくシーンも、人を笑わせることを仕事にしている人々だからこそ絵になる。
なお、本番でリーダーの狩野さんが、「サキソフォン、トランペット、トロンボーン」と言わなくていけないところ、トロンボーンを2回言ってしまっていることに、聡明なみなさまはお気付きだろう。歌うま三姉妹が年末のライブで繰り返しその話をしては大笑いしていた。笑わせてる訳ではないのに笑いの空気が降りてくる、狩野英孝と言う方はつくづく不思議な芸人さんだと、リハで何度も思い知るシーンがあった。
中間部にもうけた、一旦音楽を全て止めてから狩野さん、トレンディエンジェル斉藤さん、ほしのディスコさん、と順にアカペラで入ってゆく仕掛けだが、これもすっとんきょうな注目を集めることをものともしない芸人チームならではだ。ただ、元々僕のアレンジ時点ではその間はたった1小節、つまり2秒程度のはずだった。それがオンエア時にみたようなあれほどの間になることは僕も知らず、サブルームで本番を見ながら、え、と息を呑んだものである。直前のリハーサルで決まったのだと言うが、あれほどの間を曲中に取れるなんて、さすがに想像を超えてくる。
合唱の手法においてNGなし。だからこそ書ける音をつぎ込めたのがこのアレンジだ。
誰もがサビを聴いたことがあるこの曲も、Aメロはあまり知られていない。まして曲全体となるとよほどSMAPのファンでなければ初めて聴く人も多かったのではないか。
しかし、ヒット曲の名に恥じないこのチームならではの完成品を全国に見せてくれたと思う。結果はご存知の通り、見事なものだった。
歌ウマ芸人合唱団 オリジナルスマイル:
@gassho_battle 最高😊#オールスター合唱バトル ♬ オリジナル楽曲 – オールスター合唱バトル
https://youtu.be/HCCZi6aoWi4
パート動画は準備中です。……